わたり終えるか、転げ落ちるか
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12/1(木)、人文研アカデミー文学カフェ「作者に訊く―角田光代の小説世界」を拝聴してきました。イベントは「岡田先生のアイデア」とのこと。冒頭に「八日目の蝉(テレビ版)」の壇れいにゾッコン」というお話から始まり、会場の反応からも、「岡田先生=壇れいの大ファン」という図式はすっかり定着したのかしら、と思うほどでした。
音楽の聴き方―聴く型と趣味を語る言葉 (中公新書)音楽の聴き方―聴く型と趣味を語る言葉 (中公新書)
岡田 暁生

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八日目の蝉 DVD-BOX八日目の蝉
壇れい

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角田光代さんと言えばその輝かしすぎるにもほどがある受賞歴や、映像化されているものも多いので、作品タイトルは結構聞いたことがあったのですが、お恥ずかしながら1冊も読んだことがなく…。今回ナマでお話を聞ける、ということで急遽読んだのが「空中庭園」「対岸の彼女」「八日目の蝉」の3冊(「対岸の彼女」の葵・ナナコの話がめちゃくちゃ悲しくって、しばらく後を引きました)。読んでて思ったことに関係する内容が多く聞けて(「無個性な文章」とか)、気づけばあっという間の2時間でした。文学、ちょっと遠ざかってた(意識的に遠ざけてた)ところもあったのですが、やっぱりこの世界イイ!
空中庭園空中庭園
角田 光代

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対岸の彼女対岸の彼女
角田 光代

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八日目の蝉八日目の蝉
角田 光代

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あとはいつもの、拾えた限りでのご発言メモ。

・「ユリイカ2011年5月号」で、聞きたいことはすべて聞いてしまった。(千野)

ユリイカ2011年5月号 特集=角田光代 明日に向かって歩くのだユリイカ2011年5月号 特集=角田光代 明日に向かって歩くのだ
角田 光代 絓 秀実 斎藤 環 西加 奈子 成島 出

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・ので、できるだけ今日は会場の質疑を受け付けたい。(千野)
・広いタイトルにしたかった。で、角田光代の小説世界、とした。(千野)
・「男性読者は女性読者の本を読まない」という定説。塩野、宮部しか読まない、みたいな。(千野)
・空中庭園以降、男性読者が増えた。サイン会に来るのは男性が多い。(角田)
・女流作家は「男性立入禁止」なイメージがあった。(岡田)
・男には関係ない感覚。ねちっこい女性。(岡田)
・男性作家はもてる。このもて方の非対称問題について、ずっと悩んできた。(角田)
・(角田さんは)見るからに怖いか、少女のようなイメージ。実際は後者だった。(岡田)
・加齢とともに書くものが変わってきた。加齢に従って客観性が増してきた。(角田)
・準備して書くか、一気に書くか。角田さんは前者。平日9:00~17:00で仕事。ぴったり筆が止まる(笑)。(角田)
・角田さんの文章は透明。でも文章が透明でないと、「あの出来事」は記述できない。(岡田)
・デビューは90年。当時は「文体文体」と言われていた。江国香織の文章は一文でわかる、というようなものが求められていた。(角田)
・いかに「無個性で書くか」を考えつつやってきた。(角田)
・時制が奇妙(ギクッとなる瞬間がある)。突然現在形が現れたり。(岡田)
・優しくなった(=難しい言葉が飛び交わなくなった)。昔は難解なモノが上だった。今は下になった。(角田)
・わかるより、わからないの方が感動するようになった。(角田)
・「嫌ポイント」について。希和子(「八日目の蝉」)、小夜子(「対岸の彼女」)のような大嫌いな奴から書き始める。(角田)
・好きなタイプから書き始めると、「主観的な正義」を振りかざしてしまうかもしれない。(角田)
・八日目の蝉がメロドラマ(=感情移入させるぞ~)になってしまったのは、テレビというメディア上仕方ない。(岡田)
・映画やテレビではどう描かれてもいい(作品はもう手を離れているから)。(角田)
・東京の壇れいはいまいち。小豆島に行ってからがいい!(岡田)
・不協和音が好き。(千野)
・人物像にダブリがない(バルザックのよう)。(岡田)
・究極の風俗小説の中に「光」。(岡田)
・殺してやりたい(関わりたい)/消えてほしい(関わりたくない)の区別。(角田)
・「厭世的なエンディングが多い」(寺田博)とデビューから言われていた。が、どうせ若手へのひがみだろうと思っていた。(角田)
・今は希望を書かないと!と思っている。二度目の直木賞落選で気づく。(角田)
・とは言え安易な肯定・安易な希望は書きたくない。希望の描き方が難しかった。(角田)

続いて質疑。これまで数々のセミナーやシンポジウムに参加してきましたが、質問者がばんばん手を挙げて質問し、そしてそのそれぞれが異様なほど良質でした。角田さんも「珍しい…」と思わずつぶやいてました。真摯なQと真摯なAが応酬する、奇跡のような質疑でした。以下、そんな雰囲気をお伝えするにはあまりにもざっくりとしたメモですが…。

Qお話を伺って、「ゲーム作家」を想起した。難しくするとプレイしてもらえない。昔は難しいゲームに取り組みたいという風潮があった。
A小説、舞台、いろんな場でそれは言える。(角田)

Q創作について。デニス・ジョンソンは「VOICEが聞こえる」と言うが角田さんは?
A私には声も顔もない。但し、怒り、悲しみ、感情(への想像)から創ることが多い。 (角田)
Aシミュレーションのような雰囲気が角田作品にはある。(岡田)
A確かに裏付けの資料は多い。(角田)

Q無個性な文章とは?
A文を書いて「これが伝わらなかったら、どうしよう?」という不安から、あのような無個性な文章になる。一文一文より、全体としての有り様を重視する。

Q長編or短編はどうやって決める?
Aそれは作者ではなく小説が決める。短編にすべき小説を長く書いてしまったこともあれば、逆もある。(角田)

Q純文学とは?
A終わり方がわかりやすいもの、わかりにくいもの。純文学とエンターテインメントの違いはそこ。ただ、その境目は年々曖昧になってゆく。(角田)

その他にも、「昔は1枚の水墨画のような小説を書いていた。加齢に従って複眼的に」「『対岸の彼女』はテレビの『働く主婦VS専業主婦』の番組に参考になった」「金原ひとみさんの『マザーズ』を読んで感動。どう考えても自分とは遠い登場人物なのに、文章の緻密さによって、感情移入してしまう」等など、興味深いご発言を惜しみなく。
マザーズマザーズ
金原 ひとみ

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どうしようもない男性ばかりが登場する角田作品(そこがまたイイのですが)、次回作では初めてイイオトコが出てくるとのこと?楽しみです!
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