わたり終えるか、転げ落ちるか
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■「英雄たち」が「変装による私行」「微行」「漫遊」「巡幸の旅」をして「悪を成敗」するという「水戸黄門」ではおなじみの「物語類型」「パターン」が、日・中・韓の(類似した政治体制下で生み出される)類似した物語から生まれてきた軌跡が、金先生によってあざやかに謎解かれる、そんな目からウロコ連発の名著でした。その際個人的にいちばん気になったのは(そうした物語を生みだした)「宗教的ともいってよい願望」という言葉でした。
水戸黄門「漫遊」考 (講談社学術文庫)水戸黄門「漫遊」考 (講談社学術文庫)
金 文京

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京都大学by AERA―知の大山脈、京大。 (AERA Mook)京都大学by AERA―知の大山脈、京大。 (AERA Mook)

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…民衆が天皇の巡幸に多大の希望を抱いていたことを物語るであろう。それは天皇が民間の苦しみを理解し救済してくれるはずだという宗教的といってもよい願望である。―中略―
 しかし現実には、それはむろん幻想にすぎなかった。お忍びで各地をまわり、弱者を助け悪者をこらしめる水戸黄門の漫遊は、この幻想を物語のなかで実現させたものだろう。

京都大学by AERA―知の大山脈、京大。 (AERA Mook)」にも「『三国志演義』からくみ取る中国文化」というタイトルで金先生が取り上げられております(先生のルーツが垣間見えるとても面白い記事でした)。そして近日発売の「李白―漂泊の詩人 その夢と現実 (書物誕生 あたらしい古典入門)」も楽しみであります!

■9/26(水)京都大学未来フォーラム「なぜエンターテインメントに残虐な表現が必要なのか」(講師:作家 貴志祐介氏)を拝聴。満席の会場では映画「悪の教典」の予告編がリピートされておりました。「規制」と「表現」については、「宮台真司×山本直樹 25,000字対談「性表現と都条例を考える」」を始め、宮台真司さんの論考の内容と重なることが多かったように思いました。また、「規制」と「表現」問題について最もコミカルかつ最も本質的な落としドコロを描いた作品が「笑の大学」かと思うのですが、あれは現実に当てはめるのはちょっと厳しいのか…などと雑念を振り払いながら当日メモを以下に。
悪の教典 上 (文春文庫)悪の教典 上 (文春文庫)
貴志 祐介

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悪の教典 下 (文春文庫)悪の教典 下 (文春文庫)
貴志 祐介

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笑の大学笑の大学
三谷 幸喜

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・講演タイトル「なぜエンターテインメントに残虐な表現が必要なのか」は自分の立場が少しでも「複眼的」になるように付けてみた。
・生徒が生徒を殺す「バトル・ロワイアル」、先生が生徒を殺す「悪の教典」、「映倫的にはどちらが悪か?」に興味があった。(結果的にはどっちもどっちで「R15指定」に。)

バトル・ロワイアルバトル・ロワイアル
高見 広春

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・「バトル・ロワイアル」を連想する方多いのでは。
・(「バトル・ロワイアル」が流行った)当時はバスジャック事件等、少年事件が多い年だった。
・丸い金魚ばちは中から見ると外の景色が歪んで見えるので金魚がかわいそう…なので丸い金魚ばちは使っちゃダメという条例がイタリアにあった…すばらしい見解!(会場笑)
・暴力的な表現→暴力的な行動…因果的な根拠なし。
・むしろ暴力的な行動を減らす、ガス抜き効果の方に注目。
・「でも(暴力表現は暴力行為の原因になるのか、抑止になるのか)結局よくわからない、だったら念のため規制する」…が規制する側の動機。
・「ボウリング・フォー・コロンバイン」という映画があった。高校生銃乱射事件。原因は前日に彼らがボウリングをしていたからだ、という。
ボウリング・フォー・コロンバインボウリング・フォー・コロンバイン

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・リアリティを追求して退屈な人々を描く=それこそが筆力!という見方も。
・それはそうなんだけど…心温まる応援歌とか、映画ですることか…?そんなに「思いやり」が好きならば、身近な人のために使えばよい。
・映画に残虐表現は必須。緊張感を持続させ、眠気を飛ばすためにも。
・主人公は極限まで追い詰められているべき。助かってほしいと願う気持ちが緊張感を持続させる。
・驚かせなければならない。ショッカー(shocker)が必要。暗い夜道での大きな音とか。最大のショッカーは殺人。
・社会は、暴力によって秩序が成立している、ということを伝えるためにも残虐表現は必須。
・「法律を犯した行為を描くこと」を禁止するということ。これを禁止したらミステリーは全部アウト。
・そもそも小説は「何を書くのか」?
・男と女のこと?いや違う、人間の「生」を描く(性はあくまで一部)。
・サイコパス(精神病)による弊害・失敗例を忌避する傾向があるが…成功例も結構ある。サイコパス(精神病)が偉大な学術的発見をしたり。
・現在は父親業も。ふと思うこと。2歳の頃から残虐表現をシャットアウトされて、その後の人生で「本当の悪に触れた時」人はどうなるのだろう。
・小児が必ず受けないといけないワクチンと同じで、残虐表現に対しても「免疫」が必要と考える。
・「免疫」を付けるだけでなく、悪に立ち向かう人を生み出す、という効果もある。

<関連>
宮台真司×山本直樹 25,000字対談「性表現と都条例を考える」
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2012/10/14(日) 12:58:22 |
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