わたり終えるか、転げ落ちるか
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10/12(金)、公開講演会「ジャック・ラカンと精神分析家の育成の現在 根本的な問い」を聴きに行ってきました。「ジャック・ラカンの法定相続学派ともいうべきエコール・ド・ラ・コーズ・フロイディエンヌの創設者のひとりであり、現在までその事実上のナンバー2として活躍してきた精神分析家」と司会の立木康介先生より紹介があったエリック・ロラン氏の講演です。「エコール・ド・ラ・コーズ・フロイディエンヌ」という団体名は「知の教科書 フロイト=ラカン (講談社選書メチエ)」のあとがきでちらっと見たくらいで、まさかこうしてリアルに中の人とお会いできるなんて。

社会的にはやはり治療としての「応用精神分析」の営みを通して、精神分析の独自性を確保しておくことが必要であると考えられ、フランスの中心的なラカン派の団体である「エコール・ド・ラ・コーズ・フロイディエンヌ」においても、最近は「応用精神分析」の重要性が再認識されている。

知の教科書 フロイト=ラカン (講談社選書メチエ)知の教科書 フロイト=ラカン (講談社選書メチエ)
立木 康介 新宮 一成

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講演タイトルから「精神分析の名著」の「ジャック・ラカン『エクリ』(一九六六)」の章の以下の内容を想像しておりましたが、まさにこの内容の深ーいとこまで聴けたような気がしました。

 冒頭で『エクリ』の難解さに触れた。その理由を考えてみよう。それにはラカン自身のスタイルもあるだろうが、ラカンが考える精神分析の理論の性格もある。ラカンは一人一人の分析家が自分の精神分析を創り出す必要があると考えていた。既存のものをそのままに学ぶという態度では精神分析の精神が失われてしまうからだ。このことは分析理論にも当てはまる。分析理論は教科書を学ぶような態度ではだめであり、自分自身で咀嚼しもう一度それを再構築しなければならない。まさに『エクリ』のスタイルはそのためにある。読者が創造的に読み込んでいって初めて『エクリ』を「読んだ」と言えるのである。

精神分析の名著 - フロイトから土居健郎まで (中公新書)ジャック・ラカン『エクリ』(一九六六):精神分析の名著 - フロイトから土居健郎まで (中公新書)
向井 雅明 立木 康介

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以下、聞きとったメモを元にああでもないこうでもないと考えた軌跡。

「精神分析家の育成(=formation)はない、あるのは無意識の形成物(=formations※複数形)だけ」というラカンのテーゼから講演は始まりました。「分析家と言うものを理想的な形で」形成するには「第一に、無意識の『レトリック』を理解する訓練」「第二に、自分自身を分析する、自ら精神分析を受けることが必要」とのこと。フロイトにとって重要だったのは「文明なるものへの精神分析の寄与」「文明の中に精神分析を入れること」であり、逆を言えば、「精神分析を教える教師・教育分析家」「ラカン・フロイト的規格に沿ったソサエティ」なんてどうでもいい。ラカンをそっくりそのままコピーするのでは、「ラカンよりラカン的」にはなれない、という。

しかし、「非医師に精神分析の門戸を開くことは、既存の精神分析ソサイエティ(訓練、心理学@大学、資格(臨床心理士)…)から厳しく非難を買った」とも(そりゃそうですね)。

ラカンが「治療法と精神分析とを区別」したのは、「精神分析が治療で片づけられる『危険』」があったからなのですが、ここで特に気になったのは「分析の終わりとは何か(=自らの実践がどう帰結するのか)」、「精神分析はいかなるものでありうるか」「精神分析とは何かに関する(メタな)学び・研究」という視点。ここを追求すれば「不可能の感触」に到達できる?(「教科書を学ぶような態度」「既存のものをそのままに学ぶという態度」では「不可能の感触」には到達できない、ということでしょうか…)

こうした状況に「精神分析家の職業的資格付けを再検討する必要があった」のはわかったのですが、「システムを良い方向に働かせるには根本から破壊する必要があった」とまでおっしゃっていたのにはびっくり。「古い規制に残る人たちを解体」するにはこう思い至るしかなかったのでしょうか。「精神分析を教える教師・教育分析家」「分析の終わりを分析家へ同一化させる」という考え方から、「良い分析」=「各人がすべての分析を、他のすべての分析を可能にする」という考え方へのシフト。さらには「各人の個別性と維持しつつ、各個人の集団を成立させることは可能」とおっしゃっておりましたが…。とにかく「ラカンの実践は習うべきものではな」く、「ラカンの実践を一般化することは困難であることは確か」だから、というのは何となくわかるような気がしたところで、よし、「Ecrits」にチャレンジ!「Ecrits」を読めばこの「困難」を少しは理解できるかも…と思いましたが果たして…。
Ecrits: The First Complete Edition in EnglishEcrits
Jacques Lacan

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10/12(金)、公開講演会「ジャック・ラカンと精神分析家の育成の現在 根本的な問い」を聴きに行ってきま
2012/11/21(水) 18:13:22 | まっとめBLOG速報
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