わたり終えるか、転げ落ちるか
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12/15(土)、近代社会史研究会にて、王寺賢太先生による報告「モンテスキューにおける歴史と政治―『法の精神』第28・30・31編をめぐって」を拝聴してきました。まず会場の「京都大学文学部第2講義室」がまったくわからずしばらくさまよいましたorz文学部周辺に地図と「→」の案内はところどころにあったので、それを頼りに頑張ったのですが…結果的に「→」=「あちら」という意味と、「→」=「ココ」という意味を混ぜて使っていたのがまずかったのでは、と案内指示のせいにしてみます。それはさておき、タイトルにあります「『法の精神』第28・30・31編をめぐって」詳細に読み解く、という形で報告は進みました。モンテスキューの説く「法の精神」についてお話を伺っていると、村上春樹さんの以下の指摘を思い出しました。そうか、法(立法者)も小説(小説家)と似ているのかも、と思った次第。

 小説家とは何か、と質問されたとき、僕はだいたいいつもこう答えることにしている。
『小説家とは、きわめて多くを観察し、きわめて僅かしか判断を下さないことを生業とする人間です』と。

私という迷宮小説家にとって自己とは何か:私という迷宮
村上 春樹 大庭 健

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以下、その法と小説、立法者と小説家との関連について、興味深かった点を中心にとったメモとレジュメからの抜粋。

・「法の精神」=20年来のモンテスキューの法制史・政治制度研究の集大成(ライフワーク)。

法の精神〈上〉 (岩波文庫)法の精神
モンテスキュー 野田 良之

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・第6部はなぜ書かれなければならなかったのか。「近代の『穏和な君主制』の生成論、そのなかで政治的行為が果たした役割」。
・「法とは、(神の命令、意志の表明ではなく)事物の本性から派生する必然的な関係である。」
・「法=関係」。「法」はほとんど自然学的な「法則」のひとつの現れ。神ですら、法を変更することはできない(法はひとつしかない)。
自然状態の人間は、自己保存にあたってまず自分の弱さを感じるから、攻撃しあうどころか、避けあう。戦争状態ののりこえ=「恐れ」の乗り越えのために、主権者の設立が要請されるというホッブス説の批判。当初、避けあっていた人間たちは、お互いに恐れをなしていることを見てとると、じきに安心して互いを求めあうようになる。社会状態の起源、法的秩序の起源には、関係による「恐れ」の乗り越えがある。ただし、社会のなかで「恐れ」を忘れた人間たちは、互いに相争うようになる。
・法と、法を条件づけるさまざまな要素との「関係」の総体。
・「一般精神」:「法の精神」を形づくる諸関係の結節点にあって、「法」の<社会的>、<道徳的>な裏面をなす、国民の性向。「風土、宗教、法、政体の格率、過去の事例、習俗、作法といった、複数のものたちが人間たちを統べている。結果としてそこからかたちづくられるのが、一般精神である。」
・立法者は要る。立法者には何が、どこまでできるのか。彼はいかにふるまうべきなのか。
・「法慣習」研究のための一種の手引きでもある。
・「穏和な精神」:封建法は「この世界で一度かぎり起こり、おそらくふたたび起こることのないはずの出来事」。ヨーロッパの同一性の根幹。「規則とともに無政府状態への傾斜を生み、無政府状態とともに秩序と調和への傾向を生んだ」
・始まりから始める。「一般化」を排し、個別的な事実を見いだす。その個別的な事実同士の関係を見極める。それを証明する。まず古文書の大海に身を投じること。

われわれの歴史と法の残した遺物に目をやるとき、すべては海であり、その海には岸辺さえもかけているかのように見える。あの冷たく、無味乾燥で、硬質な文書のすべてを読み、すべてをむさぼらねばならぬ。

広大な学識のなかを漂う精神の持ち主にとって、最も困難なことは、自分の証明を主題とけっして無関係ではないところに探すこと、そして天文学者のように語るなら、太陽の所在を見つけることだ。

・理想の立法者:厳密に言えば、この君主は立法者ではなかった。

 彼はより良いものを感じとらせることで、悪いものを取り除いたのだ。―中略―強いるべきでないときに誘い、命ずべきでないときに導くこと、これは最上の技巧である。

・消え去る立法者:直面する課題に対してあくまでも局所的に介入しながら、後世において、自分が望んだような一般的・全般的な「革命」を実現する道をつけた。ルイ9世が王国の司法制度の変革に果たした「消え去る媒介」としての役割と、その役割を果たしえた政治的な「技巧」。非意志的な因果性にそって展開する歴史の運動の「傾向」をつかみ、その「傾向」に新たな方向付けを与えるような介入。

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