わたり終えるか、転げ落ちるか
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先週1/10(月・祝)13:00より、大阪市立中央図書館中会議室にて実施されました「日本図書館研究会 第277回研究例会『岡崎市立図書館Librahack事件から見えてきたもの』」を拝聴させていただきました。

最初は図書館問題研究会・静岡県立中央図書館の新出さんによる「Librahack事件と図書館」。非常に明快でわかりやすいお話でぐいぐい引き込まれした。とにかく当事者の中川さんの名誉回復のために、実名を使ってお話したいというスタートからもわかるように、とにかく今回の事件は図書館側の(Webアクセスといった考え方への)認識の遅れ、というスタンスが、ものすごく出ていました。Webアクセスの常識、さらにはそれらを日常的に使うユーザーの声に耳を傾けること、というお話が特に印象的でした。以下レジュメ以外での僕の個人的メモ。

・中川さんの「名誉回復」のために実名を使ってお話する。
・Libra = 岡崎市立図書館のシステムの愛称。
・新着冊数は約3,000冊。昨日と今日で何が違うのかよくわからない。ので、差分だけを取りたい。
・(一覧だけでなく)格書誌の詳細ページの内容と、予約状況(有無、件数)のデータがほしい。
・予約が多ければ、アマゾンで買おうと思っていた。
・これを実現させるプログラムを組み、稼動させていたところ、コネクションのMAX値(1,000本)に達してしまい、他の利用者がアクセスできない状況になってしまった。
・NDLのインターネット情報の収集方法は、自動収集プログラムを使って、ダウンロード間隔を1秒以上あける。中川さんのプログラムのマナーとどれほどの差が?
・8/21朝日新聞が「図書館システムに不具合」と報道。この日の報道がキーだと思っている。
・9/1岡崎市立図書館の公式見解。内容は「利用者に配慮をお願い」するというもの。また、「報道によりますと、起訴猶予処分になっているとのことです」とえらく他人行儀。
・「ボロサイトはボロいと察して配慮しろということだな」。
・9/28(これ以上ないタイミングで)個人情報流出事件。
・手順をスキップして、いきなり岡崎署にお願いしたのが誤り。
・2010年の図書館への関心は「国民読書年よりもLibrahack」。
・被害届を出せば逮捕につながる可能性がある、という認識がなかった。
・中川さんの動機:来館利用でないWEBサービスは、今後増える。
・日本図書協会の西野さん「プログラム予約は悪!」。
・図書館利用の考え方は幅が広い。プログラムアクセスは「普通」となる。
・ユーザーからの意見聴取が重要。
・図書館員は時間のシステムを使わないという悪い習慣があるので、使い勝手の悪さに気がつかないから。


続いて京都大学学術情報メディアセンター、上原哲太郎先生による「Librahack事件から見えてきたもの~公共IT調達を中心に~」。序盤は穏やかな自己紹介から始まって、徐々に皮肉のきいたシリアスな話に。図書館員のITの力、(金額のふっかけられ事例等と通した)「公共」セクションが企業にどう見られているか、「何もしない」が最適戦略、または自分たちで精査せずに、すぐに捜査令状を依頼、という「体質」のお話、どれも胸の痛い痛いお話でした。それにしても先生の、実にクリアな問題整理、素晴らしかった。ああいう風になりゆきを理解し、整理し、問題点を指摘する、という思考法を身に付けたいものです。以下レジュメ以外での僕の個人的メモ。

・和歌山大学に勤務していた時代、IT担当の愚痴をずっと聞いていた。
・(京大)図書館でシステム関係の相談があったときに、対応できるのは1.5人~2人。
・不起訴には「起訴猶予」「嫌疑不十分」「嫌疑なし」の3種類がある。今回はなぜ「起訴猶予」?
・岡崎市、MDISのプロポーザル高評価!でも実際は…。
・これで5憶?RFID対応の設備でもあるのか?…いや、ない…
・個人情報保護、OPACの処理、セキュリティ対策、で何と三菱は1位。でも実際は…?
・検索レスポンス遅い。(岡崎では修正済だが)1文字検索ができない(奈良県立図書館もMDISで検証)。
・MDISのソースから判断するに、ある大学図書館にインストール→カスタマイズ→吸い出し→ある大学図書館にインストール→カスタマイズ→吸い出し…を繰り返していたことがわかる。
・しかもMDISのソースにはコメント行に三菱電機の「み」の字もない。
・大手企業に技術者はいない…!社員ではないエンジニアが開発を担当する。
・そもそもな問題だが、公務員(体質)問題。公務員=「何もしない」のが最適戦略。
・予算採り→(図書館等、公共セクションには)価格の妥当性を検討できる人がいない。
・結果いつのまにか「倍々ゲーム」。(先生がいちど「高すぎる」と交渉したら、何と半額になった、というお話も。)
・公共だと、損害賠償等を求められるリスクがないと思われている。
・ベンダロック=SIerの必勝方程式。
・自治体にITコンサル(監査)ができる人材を!コンサル(監査)は、自治体の仕事であるという自覚を!
・もちろん、自治体にITコンサル(監査)ができる人材を置くことができても、今度はその人を監視するしくみも必要だけれども。
・今回もれてしまった貸出履歴という情報は、言わば、思想・信条にあたる情報で、機微性が高い。住所、氏名がもれたという問題よりずっと重要。)
・2011年は、本当に電子書籍元年になる。アメリカでは昨年、電子書籍が紙書籍の売り上げを超えた。
・電子書籍がメインになってきた場合の図書館員の役割は?まずはIT力。とにかくITを魔法扱いしないこと。
・それからやはりレファレンス。問われるのはレファレンス力。
・Yahoo知恵袋、人力検索はてなも、クオリティ低い。クオリティの高いレファレンス力を身につけることが重要。


今回参加させていただいて、特に感じたのは2点。ひとつは、(アクセス障害を引き起こした)コネクションプール、(個人情報流出を引き起こした)Anonymous ftp状態、MDISのインストール→カスタマイズ→吸い出し…のサイクルが見てとれるソースコード、等、実際に頭の中にイメージできる人とそうでない人と、結構理解に差が出ちゃうんじゃないかな、と思いました。今回、全体的に(岡崎市立図書館やMDISの)「ずさんさ」を示す内容が多かったので、それらを聴いて(よもや上から目線で)バカにするような嘲笑がよく聞こえたような気がしたんです。いや、確かに図書館側もベンダもずさんだった。それは間違いないです。でも、↑のしくみをきっちりイメージできた上で笑うのとそうでないのとでは、ぜんぜん違うような気がするんです。ふたつめも、ひとつめの話とほとんど同じになっちゃうのですが、「(公共、公務員)体質」のお話になったときに、ここでもまた、「この人たちバカだね~公務員ダメだね~ハハハ」という雰囲気になった瞬間が結構あったような気がするんです(気のせいかな…)。僕は、ITのしくみ(Webアクセスの考え方)への認識の低さも、体質の問題にしても、「我がゴト」として「苦笑い」こそ起きても、「嘲笑」があってはいけないんじゃないか、と思いました(繰り返しますが、確かに岡崎市立図書館の対応はずさんでした。しかし…みたいな感じです)。いや、やっぱしすべて僕の勘違いかもしれませんが…。

何はともあれ、Librahack事件について理解を深められましたし、何よりも、Twitter上でのお知り合いの方と、リアルにご挨拶させていただいたのがとってもうれしかったです!今後ともひとつ、よろしくお願いいたします!

<参考>
【参加報告】 日本図書館研究会「岡崎市立図書館Librahack事件から見えてきたもの」:空手家図書館員の奮戦記
基調講演 "Librahack"事件を総括する:りぶらサポーターくらぶ
Librahack マスコミ報道だけでは分からない岡崎図書館事件
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